松本恭攝とは?ラクスル創業者/社長の経歴と年収を調査!印刷業界の革命児

  • 2022年5月7日
  • 2023年1月25日
  • 社長

松本恭攝さんは、印刷業界にインターネットを導入した業界の革命児ともいえる企業「ラクスル株式会社」の創業者です。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という信条のもと、設備をもて余している印刷業界にシェアリング・エコノミー(経済共有)を導入し、印刷会社なのに自社では印刷機を持たない独特なビジネスモデルで成長を遂げてきました。

本記事では、ラクスルを創業した松本恭攝さんの経歴についてご紹介します。世界的な金融恐慌リーマンショックの翌年に起業しましたが、着実に業績を伸ばしてきた松本恭攝さん。記事内では、経済が低迷する中どういった経緯で起業に至ったのか、どのような要因で成長できたのか等、事業成長の秘密にも迫ります。

松本恭攝とは

松本恭攝さんは、累計ユーザー数100万人を超えるネット印刷の会社「ラクスル」の創業者です。俳優ののんさんがカラフルな衣装で登場しているTVCMをご覧になったことがあるのではないでしょうか。TVCMでの認知度向上もユーザーの増加に拍車をかけ、2018年にマザーズ上場、2019年に東証一部へ市場変更も果たしています。

プロフィール

  • 氏名:松本恭攝(まつもと やすかね)
  • 生年月日:1984年(昭和59)10月21日(37歳)
  • 出身:富山県
  • 学歴:慶應義塾大学商学部 卒業

※2022年4月1日時点

略歴

  • 2008年:慶應義塾大学商学部卒業/A.T.カーニー入社
  • 2009年:ラクスル株式会社を設立
  • 2013年:Eコマース「ラクスル」開始
  • 2015年:物流シェアサービス「ハコベル」開始
  • 2018年:東証マザーズ上場
  • 2019年:東証一部に市場変更
  • 2020年:TVCM運用サービス「ノバセル」開始
  • 2021年:事業ITサービス「ジョーシス」開始

自社でのTVCMの成功体験から、TVCMのデジタル運用サービス「ノバセル」をリリースし、印刷会社であるにもかかわらずTV業界へも活躍の場を広げています。

他にも、シェアリング・エコノミーを物流に応用した「ハコベル」、企業のアナログ業務を自動化・共有化した「ジョーシス」など、ラスクルで培ってきた技術力を他の分野でも波及させるようなビジネスを展開しています。松本恭攝さんが個人で、資本金200万円で始めた会社が時価総額400億円を超える巨大な起業へと変貌を遂げたのです。

松本恭攝の推定年収

時価総額400億円を超えるラクスル創業者である松本恭攝さんの年収は、約2,700万円です。有価証券報告書によると取締役5名への報酬は1億3,680万円とのことで、5等分すると2,736万円になるからです。上場企業の役員報酬の平均は3,630万円となっていますので、上場企業の中では収入が少し下回っていますね。

その理由としては、現時点でラクスルが株主配当の還元をおこなっていない点が挙げられます。ラクスルは2018年にマザーズ上場、2019年に東証一部に市場変更をしたばかりの若い会社です。事業拡大の段階にあるため、調達資金や上場で獲得した資金を事業投資に当てる方針であるのでしょう。

ちなみにですが、松本恭攝さんの保有株式数は4,977,000株ですので、直近の株価3,000円で計算すると、南壮一郎さんの資産額は約149億円にのぼります。仮に1%の配当を受け取るとしたら、年収は2,700万円から一気に1億5,000万円になる計算です。ラクスルが配当で株主還元を実施するようになれば、松本恭攝さんの年収は一桁上昇するわけですね。

松本恭攝の経歴

ここからは、松本恭攝の学生時代からの経歴を詳しく紹介します。

非常識を生き抜くすべを学んだ学生時代

慶應義塾大学に進学した松本さんは、ビジネスコンテストを主催するOVALというサークルに入ります。日中韓の学生を集めて開催するイベントなのですが、当時は反日デモが起きるなど日中関係が良好とは言えない時代です。官僚など立場のある人から「無理・やめた方がいい」と言われていました。ですが、外交関係を無視するかのように、日中韓の学生は協力し合い、イベントを大成功で終えることができたのだそうです。明確なビジョンを持ち言葉にすることの大切さを学び、そこに人が集まってくれれば必ず実現できるという自信になりました。学生時代からすでにリーダーとしての素質を備えていたようですね。

コンサルティングで気づいた印刷業界の闇

大学を卒業した松本さんは、外資系コンサルティング会社のA.T.カーニーに入社します。リーマンショックの影響で費用削減を目指す会社が多く、松本さんも費用削減に関するプロジェクトに多く参画していました。そこで、印刷が削減率の高い費用項目であることに気づき、印刷業界について深く調べるようになります。

印刷は6兆円を超える巨大産業にもかかわらず、上位2社の独占状態でした。3万社もの印刷会社があるのに、そのほとんどの会社の印刷機は稼働率40%ととても非効率な体制で運営がされていました。また、印刷機も1台数千万円から億を超えるものもあり、一社で何台も印刷機を保有することができません。

チラシは刷れても名刺は刷れないといった状況のため、下請けの連鎖が続いたり、回り回って頼んだ仕事が自分の会社に来てしまったりということも頻繁に起こっていたそうです。他の業界にいる人なら、そんなことあり得るの?という状況が当たり前の業界だった訳ですね。

さらに、どこの会社がどの印刷機を所有しているかも把握できていないため、非効率な運営がいつまでも終わらないのだそうです。そういった状況を目の当たりにして、インターネットによる仕組み化も進んでおらず、業界を改変できるほどのチャンスが眠っているのでは、という想いが日に日に強くなっていったそうです。

ラクスルの創業初日に「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げ、事業をスタートします。

資金のかからないメディア事業でスタート

事業といってもはじめは貯金200万円で自宅からのスタートでした。印刷業界に決めたもののビジネスモデルは確立されておらず、業界の問題を具体的にするために、ひたすら印刷業に携わる人へのヒアリングから始めたそうです。そこで聞く言葉は「ダメだった」「難しい」といった厳しい意見でした。松本さんの場合、誰もできていないことなのだと逆にワクワクしたそうです。

週7日で1日17時間近く仕事に打ち込み、2010年に印刷業者の比較サイト「印刷比較.com」をリリースしました。アクセスは順調に伸びていき、年内には100万アクセスに到達します。収益も月に100万円〜200万円ほどになっていました。「印刷比較.com」の立ち上げから10ヶ月後には借入も含めて600万円を調達します。さらにその後には複数の会社から合わせて2,000万円の資金調達に成功します。以降Eコマースへの移行までは、調達資金と売上でのやりくりを続けたそうです。

ラクスルの誕生

松本さんが立ち上げた印刷比較.comは、印刷メディアとしては国内最大手になるまでに成長します。ですが、印刷比較.comはあくまで印刷会社とお客さんのマッチングをはかるものです。自身の手で直接印刷サービスを変革させるため、それまでの印刷メディアは閉鎖し、2013年にEコマース事業に業態をチェンジします。

サービスとしての「ラクスル」の誕生です。

ポータルサイトの運営ですでに1,600社近くの印刷会社リストを保有していた松本さんですが、始めの1年間は事業に協力してもらう会社探しのために普通に営業して苦労をされたようです。その後、高品質な印刷を手がけているサプライヤーとの出会いで商品ラインナップは大幅に変化し、一気に売上を伸ばすことに成功します。

基本的には会社が稼働していない時間帯に印刷機器を利用させてもらうことで、低価格のネット印刷サービスを提供していましたが、セールスが伸びるも供給が追いつかない状況になり、自分達でも印刷機を購入して稼働をせざるを得ないこともありました。ですが、自分達で抱える印刷機が増えたら自身が掲げる「仕組みを変える」ことができなくなってしまうので、誘惑に負けずシェアリング・エコノミーのビジネスモデルを継続し、設備の拡大ではなくノウハウの普及を進めることに尽力されたそうです。

松本恭攝の展開している事業

松本恭攝さんが展開している事業はらラクスルだけではありません。ここで、ご紹介します。

ラクスル

ラクスルは、全国の印刷会社の稼働していない時間の印刷機を使って高品質・低価格なネット印刷のサービスを提供しています。ただ印刷するだけでなく無料のデザインソフトを利用できたり、折込チラシ、ポスティング、ダイレクトメールなどにも対応しています。チラシのデザイン・印刷・配達までワンストップでできるので、複数の業者との打ち合わせなどの煩雑な手間なく宣伝活動ができるようになります。

ハコベル

運送会社の稼働していない時間帯を利用、個人ドライバーなどの手配により、荷主にとっては物流コストの削減、運送会社にとっては適正価格での運搬を可能にするサービスです。30,000社以上の利用実績があり、数百万円かかっていた再配達コストをゼロにした実績などもあります。

ノバセル

ラクスルの連結子会社のノバセル株式会社によるサービスです。ノバセルは、ラクスルが実体験で得たノウハウを元に、運用型TVCMでのマーケティングサポートをおこないます。具体的には、複数の映像素材の最適化、放送枠ごとのデータから費用対効果を分析、アクセスやコンバージョンなどの費用対効果の分析などをおこないます。データに落とし込みづらいTVCMの運用をあらゆる指標で分析することで、より効果の得られる運用を実現しました。

ジョーシス

ラクスルの持分法適用関連会社である株式会社ジョーシスによるサービスです。ジョーシスは、社内で利用するPCやタブレットのデータの一括管理をおこないます。利用するデバイスの調達から各サービスのアカウント発行、利用状況の管理、不要のデバイスの返却対応まで、ワンストップでサービスを提供します。仕事のIT化により会社で常に数十のアプリを利用している企業も少なくないと思いますが、多すぎて社内で管理するのが難しい場合もあります。全てのアプリを一括管理できることがジョーシスの魅力です。

上場してもなお成長を止めないラクスル

印刷比較.comを運営している際にすでに2.3億円の資金調達をしていた松本さんですが、ラクスルのリリース後はさらに大きな資金調達をされています。2014年に16億円、2015年に40億円、2016年に20.5億円と、いずれも10億円を超える規模の調達です。資金調達も進めながら順調に事業を成長させてきたラクスルは、2018年にマザーズ上場2019年に東証一部に市場変更を果たしました。時価総額は400億円を超えています。

今後10倍の成長余力のあるネット印刷

2014年の年商1億円から2021年には年商300億円にまで成長しました。東証一部へ上場してもラクスルの成長が止まらない理由は、成長余力の大きさにあると語る松本さん。国内の印刷業界の市場規模は約3兆円です。その内、ネット印刷は3〜4%で1,000億円程度と言われています。

ですが、海外に目を向けると、例えばドイツでは市場全体の50%がすでにネット印刷が占めています。国内に置き換えれば、ネット印刷の成長余力はあと1兆円以上あるのです。現在の10倍は成長できる基盤がすでにあるということですね。まだしばらくはラクスルの限界は見えて来なそうです。

松本恭攝のSNS

松本恭攝さんのSNSを調査したところ、TwitterとFacebookのアカウントが見つかりました。

Twitter

Facebook

まとめ

印刷業界にインターネットを持ち込み、業界再編を牽引する企業「ラクスル」の創業者、松本恭攝さんをご紹介しました。大企業になっても成長を止めない松本さんの活躍に、今後も注目ですね。