山下智弘とは?リノベる社長の経歴/年収/成功の秘密に迫る

  • 2022年5月9日
  • 2023年1月27日
  • 社長

山下智弘さんは、中古住宅のリノベーションをワンストップで手掛ける企業「リノベる」の創業者です。個人向け住宅のリノベーション請負件数は累計3,000件を超え、ワンストップ・リノベーションで国内No.1の実績を誇ります。

2002年にたった一人でデザイン事業をスタートさせ、2010年に「リノベる」を創業、2020年に未上場で企業価値1,000億円のユニコーン企業へと成長しました。

本記事では、山下智弘さんの経歴や年収についてご紹介します。また挫折から這い上がる山崎さんの泥臭い成功ストーリーに焦点を当て、成功の秘密を探ります。

山下智弘とは

山下智弘さんは、中古マンションのリノベーション事業を手掛ける「リノベる」の創業者です。物件探しから資金計画、デザインプラン、施工までワンストップでの提案が可能で、累計3,000件の施工実績があります。

また、法人向けにもビルリノベーションを展開していたり、同業者向けに施工管理のITサービスも提供していたりします。2010年の創業から10周年を迎えた2020年に、企業価値1,000億円を超えるユニコーン企業として、国内ランキング19位の企業にまで成長させました。

現在の日本では依然として「新築」に重きが置かれている状況ですが、中古住宅のリノベーション実績をさらに増やして、欧米のように住む人がもっと内装の変化を楽しんで欲しい、という想いで活動されています。

プロフィール

  • 氏名:山下智弘(やました ともひろ)
  • 生年月日:1974年(昭和49)4月12日(48歳)
  • 出身:奈良県北葛城郡
  • 学歴:近畿大学理工学部 卒業

※2022年4月1日時点

略歴

  • 1997年:株式会社リコー入社
  • 1998年:専門商社入社
  • 2000年:東西新風堂入社
  • 2002年:デザイン事務所field設立
  • 2004年:株式会社es設立
  • 2010年:リノベる株式会社設立
  • 2010年:リノベーション協議会理事

山下智弘の年収

山下智弘さんの年収は、役員報酬などの情報が非公開なため推測になりますが、1,000万円前後と思われます。2020年度決算では売上73億円ですが、当期純利益は2,000万円となっており、事業としては成長フェーズにあり、未だ収益フェーズには乗っていないことが伺えます。年収も、中小企業のオーナー社長のように数億円とはいきません。ただ、事業規模は大きいですから、収益フェーズに入れば山下さんの収入も増えていくことでしょう。

山下智弘さんの経営する「リノベる」は2020年の段階で評価額1,000億円の大企業です。仮に山下さんの持株が20%の場合、会社が上場すれば山下さんの資産は200億円になります。さらに、配当を1%受けるとすれば、年間収入は役員報酬に加えて2億円追加されます。会社が収益期に移行すれば、山下さんの年収も爆発的に増えそうです。

山下智弘の経歴

ラグビーの試合

ここからは山下智弘さんの学生時代からリノベるを創業するまでの経歴を詳しく紹介します。

ラグビー漬けの学生時代

山下智弘さんは、中・高・大学と学生時代はラグビー漬けの日々を送っていました。大学時代には関西選抜に選ばれるほどの実力の持ち主で、途中オーストラリアのクラブでも活躍されていたそうです。ちなみに高校は大阪府立香里丘高等学校、大学は近畿大学理工学部を卒業しています。

リコーに入社

ラグビーで食べていくという決意のもと、大学卒業後は社会人ラグビーのあるリコーに入社します。当時のリコーは山下さんの入社前年に関西社会人ラグビーBリーグに昇格し、チームとしても勢いに乗っている時期でもありました。学生時代はトップをひた走っていた山下さんですが、外国人プレイヤーとの違いを見せつけられ、初の挫折を味わいました。結局チームの1軍に上がることができず、1年でラグビーも会社も辞めてしまいます

良かれと思った仕事で絶望を与えてしまう

大きな挫折を味わい意気消沈の山下さんでしたが、先輩の計らいにより建築現場でのアルバイトを始めました。学生時代からずっと体力勝負をしてきた山下さんには天職だったのでしょう。仕事での頑張りが認められ、社員昇格・花形の企画部門へと配属が決まります。

配属後の山下さんの初仕事は、200戸以上の大型マンション建設のための地上げ仕事でした。立ち退きをお願いする仕事ではありましたが、多くの人が想像するような怖い人の仕事ではありません。立ち退く代わりに新築マンションの部屋を2つ提供してもらえるため、スムーズに立ち退き交渉が進みます。

ですが、一人暮らしのおばあちゃんだけには話を聞いてもらえなかったのだそうです。最終的には、山下さんがお孫さんへのプレゼントにしてはどうかという提案に納得し、無事立ち退きが完了します。しかし、3年後のマンション完成時におばあちゃんから言われた言葉は「詐欺師!」でした。夫との思い出が壊され景色も変わり、全てを失ってしまったのです。良かれと信じていたことが、お客さんの幸せに繋がっていないと思い知らされた山下さんは、仕事を辞めて長期で世界をまわる旅に出ます。

海外で出会ったリノベーションの原型

おしゃれな家

世界旅行中は、海外でプレーする先輩や後輩の家をまわりました。そこで気付かされたのが、家へのこだわりです。海外に住む知り合い皆が家具やDIYの自慢話をしていたのです。

山下さんは、日本に帰国してからも知り合いの家を渡り歩く生活を続けますが、日本の家はキレイではあるものの皆一様な家に住み、話は仕事に関することが中心で、家へのこだわりや家具を自作する話などは一切ないことに気付かされます。おばあちゃんを悲しませてしまった一件もあり、古いものを取り壊さずそのまま活かす工夫はないか、と模索する日々を送るようになりました。

東西新風堂へ入社

そんな想いを形にするための知識とスキルを身につけるために選んだ場所が、関西のデザイン会社「東西新風堂」です。東西新風堂は建築デザインをしながら工事まで自社でこなすワンストップの会社です。山下さんは、忙しい日々を過ごしながら大工、左官、水道、電気、内装までできるようにスキルを磨いていきました。

個人事務所fieldを立ち上げ

設計から施工まで一人でできるようになった山下さんは、2002年11月11日に一人で住宅デザインの個人事務所fieldを立ち上げます。
初めての仕事はラグビーの先輩が経営している和菓子屋のデザイン・工事でした。店舗に設置する什器の制作から塗装まで全部一人で仕上げました。受け取った売上金をそのまま時計の購入代にあててしまったのだそうです。

株式会社esを設立

その後もラグビー時代の知り合いのツテなどで徐々に事業が軌道に乗り始めます。独立後2年がたち一人では手が回らなくなってきたのを機に、法人化して株式会社esを設立します。飲食業をしていた先輩と株を半々で持ちながら、昼はデザイン・夜は飲食というスタイルで2年ほど営業を続けました。ですが、その先輩ともケンカ別れをしてしまい、住宅デザインに絞って事業を続けることになります。

株式会社esでは、デザインだけでなくトータルでサポートができるように、「すべて自分達で作る」ことを企業コンセプトとしていました。また、オフィスビルの1Fにレストラン、2Fに工房、屋上で自社デザインの家具販売、農場経営をして獲れた野菜をレストランで使うなど、「暮らしのことぜんぶ」をビジョンにしたビジネスを展開します。

es設立から6年後、オーダーメイドデザインで成長したesの強みを活かして社会により大きなインパクトを与えるべく、次なる事業「リノベる」を創業します。

リノベるを創業!

店舗デザインを手掛けるesでは店舗設計の依頼を多く受けていましたが、山下さんの理想とする住宅のリノベーションの案件はありませんでした。エッジの鋭いサービスの提供はできていたものの、多くの人に響くサービスではなかったと語る山下さん。そこで、esは既存メンバーに任せ、東京に拠点を移し、中古マンション購入からリノベーションまで、ワンストップでサービスを提供する「リノベる」を立ち上げます。

ITをフル活用して、不動産会社や銀行、施工会社との連携できる環境を構築します。中古の物件探しから、資金計画、ローン手続き、リノベーションまでワンストップでサービスを提供できるようになりました。2015年にはワンストップ・リノベーション業界で国内トップの実績を獲得します。

自社の成長だけでなく業界の成長にも貢献しようとする「リノベる」は、成長過程で構築したITプラットフォームを公開し、パートナー企業のIT化のサポートも展開するようになりました。施工現場での非効率なコミュニケーションに苦労した経験から開発された施工管理アプリは、多くの同業企業から高評価を得られているようです。

リノベる株式会社の事業内容

リノベーション

山下智弘さんが創業した「リノベる」が展開する事業は、個人向けリノベーション、法人向けリノベーション、パートナー企業向けIT化サービスの3つです。

住宅リノベーションプラットフォーム

リノベるの中心事業は個人向けワンストップのリノベーション事業です。中古マンションの物件探しから、資金計画、実際のデザインまで、専門のスタッフのサポートを受けられる「リノベる。」、都心の物件に特化したリノベーションサービスの「ESTATH」、自己所有物件のリノベーションをおこなう「リノベる。mine」と個人向けには3つのサービスを展開しています。

内装を綺麗に整え新築のようにするのがリフォームなのに対して、リノベーションは部屋を一度箱だけのゼロの状態に戻してから作り直します。リノベーションは、生活環境に合わせて間取りなども変更できてしまうことが特徴です。

CREリノベーションプラットフォーム

リノベるでは法人向けリノベーションサービスも展開しています。会社所有のビルを丸ごとリニューアルする一棟リノベーション、新店舗開発や他店舗展開などに合わせたオフィス設計、新規ビルのオーダーメイド建築設計をサポートします。

リノベDXプラットフォーム

パートナー企業向けITサポートです。リノベるが事業展開する中で自社開発したツールを同業のリノベーションパートナーへ共有し、事業のIT化をサポートするサービスです。

中古マンションの売主と顧客を繋げるプラットフォーム「creal」や、施工業者との連絡をよりスムーズに進めるための遠隔管理・チャットツール、ARを活用した営業・販売活動の促進用ツールなど、さまざまな角度からのITソリューションの提供もおこなっています。

山下智弘が組織力を上げるためにしていること

「リノベる」の成長に従って、マネジメントへの苦悩は何度も経験してきたと語る山下さん。組織の力を強くしていくためには、説明し続けることが重要のようです。ラグビーでは「one for all, all for one」という有名な言葉があるように、一つの目標に向かって一丸となるのが当たり前でしたが、熱量の度合いも異なる人が集まる会社組織でそれを実現するには伝え続ける必要があるようです。

ミッションはあればいいと思っていた山下さんですが、説明し続けないと人の心は離れていくことに気づかされます。毎週月曜日には全社をテレビ会議で繋いで研修をしているそうです。

リノベるの今後のビジョン

今後のビジョンとしてはリノベーション件数年間10,000件を目指しているそうです。その理由としては、新築と中古の建築数が逆転する数字であるからです。まだまだ新築が重宝されている日本ですが、中古物件のリノベーションを広めてもっと家づくりを楽しむ人を増やしたい、という想いがあるようです。

まとめ

世界旅行をきっかけに中古リノベーションに魅了され「リノベる」を創業した山下智弘さん。家づくりのIT化が進むことで、オーダーメイドのような家づくりを手軽に実現できる未来も近そうですよね。