寺田親弘とは?名刺管理Sansan創業者の驚きの経歴と年収情報!

  • 2022年5月6日
  • 2023年1月24日
  • 社長

寺田親弘さんは、名刺管理サービスを展開している「Sansan」の創業者です。俳優の松重豊さんが「それ、早く言ってよ〜」というセリフが印象的なテレビCMの会社、といえば思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。法人向け名刺管理市場の8割以上のシェアを獲得しています。

本記事では、業界を牽引する企業にまで「Sansan」を成長させた、寺田親弘さんの経歴や創業秘話についてご紹介します。親が経営者であり、慶應義塾高校・大学に通い、三井物産を経て起業という、エリート中のエリートともいえる輝かしい経歴を持つ寺田さんですが、創業に当たっては多くの批判も浴びてきたのだとか。記事内では、そんな寺田さんの葛藤なども深掘りしていきますので、ぜひご覧ください。

寺田親弘とは

寺田親弘さんは、2022年時点で名刺管理市場の80%以上のシェアを獲得、7,000社の顧客を持ち業界をリードするSansan株式会社を創業した経営者です。

法人向けサービスの「Sansan」、個人向けサービスの「Eight」を展開しており、いずれも名刺管理に特化したサービスとなっています。創業当初こそ見慣れないサービスの普及に苦労したものの、2013年からは資金調達額も増え、累計調達額は100億円を超えています。

プロフィール

  • 氏名:寺田親弘(てらだ ちかひろ)
  • 生年月日:1976年(昭和51)12月29日
  • 出身:東京都
  • 学歴:慶應義塾大学 卒業
  • SNS:Twitter0.2万人

※2022年4月1日時点

略歴

  • 1999年:三井物産 入社
  • 2007年:三井物産 退社
  • 2007年:三三株式会社設立
  • 2014年:商号をSansan株式会社へ変更
  • 2019年:東証マザーズ上場
  • 2021年:東証一部へ市場変更

Sansan株式会社は2019年には東証マザーズ上場を果たし、2021年に東証一部へ市場変更をおこない、大企業の仲間入りを実現しました。

市場のシェアを大きく獲得しているSansanではありますが、国内で働く人口の3%にしか利用されておらず、市場の成長余地が十分にあると語る寺田さん。今後も国内での利用を増やしていきたい考えを示しています。

寺田親弘の推定年収

業界を牽引する「Sansan」を経営する寺田親弘さんの年収は、2,000万円強と推測されます。有価証券報告書によると、取締役7名の合計報酬は1億4,000万円とのことで、7等分すると約2,000万円になるからです。寺田親弘さんは代表取締役社長なので若干他の役員よりは多い金額に設定されているかもしれませんね。

ただ、東証一部上場企業のトップが年収2,000万円なのか、大企業に努めるサラリーマンと変わらないじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。年収がそこまで高くない原因としては、「Sansan」が株主配当を実施していないことが考えられます。

事業がまだ成長段階であること、利益を事業拡大に向けた投資に当てていくため、Sansanでは株主配当による還元を見送っているのです。ちなみに寺田さんの持株は41,432,920株で、記事執筆時点の株価1,309円を掛けると、寺田さんの資産額は542億円にのぼります。仮に1%の配当を受けるとすると5億4,000万円の収入になる計算です。いつでも億単位の収入を得ることは可能ですが、現時点では事業拡大を目指している段階というわけですね。

Sansan株式会社について

名刺交換するビジネスマン

寺田親弘さんが創業したSansan株式会社が展開する事業は、「Sansan」「Eight」「BillOne」の3つです。

Sansan

1つ目の事業は、法人向け名刺管理の「Sansan」です。2021年5月期の売上は145億円で、企業のメイン事業です。お客さんの名刺をデータ化して社内で共有できる他、オンライン面談での名刺交換、お客さんとの面会履歴の記録・共有、人事異動での情報アップデートなど、事業の営業促進・マーケティングサポートに利用されています。

導入実績は7,000社以上にものぼり、業界シェア80%以上のサービスとなっています。名刺管理、活動日報、情報更新など、今まで別々に作業していたものを一括できるため、効率的に顧客管理ができるようになりますね。

Eight

2つ目の事業は、個人向け名刺管理の「Eight」です。2021年5月期の売上は16億円で、前年に比べ1.5倍に拡大しており成長著しい事業です。紙・オンライン問わず自分の名刺や人の名刺を一つの専用アプリで管理することができます。

プロフィールを自動で作成してくれたり、相手が転職された際に通知してくれることはもちろん、企業からスカウトが届く転職サービスとしても利用できます。チャット機能も備えており、ビジネス用のSNSとも言えるサービスです。

BillOne

3つ目の事業は、中小企業向け請求書管理の「BillOne」です。こちらは2020年開始の新サービスで、紙やPDFなどバラバラな形で届く請求書を一つのデータとして一括管理ができるようになりました。人によって形の違う名刺を精度高く管理することに成功したSansanならではのサービスです。

請求書の電子化を進めるため、2023年より導入予定の電子インボイス制度を見据えており、国が推進する流れに乗じることのできるサービスであるため、早期の事業拡大の可能性に期待されています。

寺田親弘の経歴

ここからは、寺田親弘さんの経歴について詳しく紹介します。

天下取りを目指すも遊び三昧の学生時代

寺田親弘さんは、経営者の父の影響もあり幼少の頃から「天下を取りたい」と考えていたそうです。父の背中を見て、現代で天下を取る手段がビジネスであると知り、自然と起業への興味を抱いていたとのことです。

ですが、名門の慶應義塾高校に入るも麻雀などの遊び三昧。そのせいで成績も振るわずでしたが、首の皮一枚繋がりなんとか慶應大学SFCに進学します。それでも勉学には力が入らず、95年当時の流行であったインターネットに魅了され、仲間とウェブ制作などに注力していたそうです。

遊んでばかりと語る寺田さんですが、大学卒業時の就職先は三井物産に入社しています。地頭の良さや流行に乗じる行動力などは天性のものだったのかもしれませんね。

三井物産で起業力を身につける

入社した三井物産では情報産業部門に配属され、3年目にアメリカのシリコンバレーへ活動の場を移します。アメリカでの寺田さんの仕事は、現地で優良な商品を探し出し、日本へ輸入・販売することでした。

1年間でシリコンバレーの企業100社以上を訪問し、時代の最先端のビジネスから日々刺激を受けていたようです。3年ほどでの独立を考えていた寺田さんですが、シリコンバレーでの活動を含めて8年ほど在籍していたそうです。アメリカからの帰国後は社内ベンチャーの立ち上げなど、起業に近い活動をされていました。

名刺文化への疑問から三三株式会社を創業

三井物産から独立して、2007年に三三株式会社を設立しました。上述の通り、三三株式会社の事業内容は名刺管理なのですが、三井物産へ入社してすぐに名刺に特化した事業プラン自体は考えていたのだそうです。実に8年温めたビジネスアイデアだったわけです。

寺田親弘さんが名刺にビジネスチャンスを感じたのは、その「非効率性」にありました。三井物産に入社した当時からすでに仕事のIT化は進んでいましたが、名刺だけはいつまでも現物から変化することなく、無くしてしまうなど管理に困っていたそうです。

また、お客さんと人脈を作る際に、決定権者との繋がりを苦労して獲得したにも関わらず、隣の部署の人がすでに知っていたといった出来事にも出くわします。顧客情報を社内で管理していれば、遠回りをする必要はありません。まさにCMの「それ、早く言ってよ〜」と寺田さん自身が身をもって体験していたようですね。

ちなみに三三の社名の由来ですが、日本人が人を呼ぶときに「〇〇さん」と付けることは世界的に知られており、人を表す「〇〇さん」が二人並んで名刺交換をしている様子をイメージして、「サンサン」と名付けたのだそうです。

なお、2014年にSansan株式会社に商号変更しています。

Sansan株式会社の創業秘話

仕事に熱心になる男性

今でこそ大きく成長を遂げたSansan株式会社ですが、創業時には様々な苦労があったようです。

無給で支えてくれた創業メンバー

寺田親弘さんは大学や仕事で出会った仲間5人を取締役として迎え、Sansanを創業します。ですが、寺田さんとNo.2の冨岡さんは1年間給料ゼロ、他3人は月15万円の給料で事業をスタートし、徹底した低コストでの運営をされていました。

メンバー全員が大手企業でのエリートキャリアを築いてきた人たちです。寺田さん自身、あのような環境でよく今までついて来てくれた、仲間たちには本当に感謝している、と話しています。確かに、大手企業でその中でもエリートとして順調にキャリアを積んでいたのにもかかわらず、突然アルバイトでも稼げるような収入になってしまうのですから、普通の人では恐怖を感じるかもしれないですよね。当然周りからの反対も少なからずあったはず。

ただ、それでも寺田さんのビジョンにメンバー全員が確信を持っていたとも受け取れます。幼少の頃から天下を取りたいと思っていた寺田さんですから、人を惹きつける天性の力を持っているのかもしれませんね。

資金繰りに苦しみながらも100億の資金調達

今でこそSansanの導入企業数7,000社以上、Eightの利用者数290万人となり、累計100億円・評価額1,000億円以上でユニコーン企業の仲間入りを果たしたSansanですが、創業当初から順風満帆に成長してきたわけではありません。

資金繰りに苦しむ創業期(2007年〜2012年)

資金調達については、現インキュベイトファンドの赤浦氏より出資を受けてSansanを創業しました。また、創業2年後の2009年に5,000万円の出資を受けましたが、当時Sansanが掲げるビジネスモデルは世の中に浸透しておらず、投資家に理解してもらうのに相当な苦労をされたようです。

順調に資金調達(2013年〜2018年)

2013年を皮切りに状況はガラッと変わります。2013年の資金調達で獲得した5億円を投じて、SansanのTVCM第一弾をリリースしました。俳優の松重豊さんが出演する「それ、早く言ってよ〜」でお馴染みのCMですね。このCMは大変な話題を呼び、2022年時点で第9弾まで続く長者CMとなっています。

TVCMをキッカケに認知度も上がり、資金調達もしやすくなりました。2018年までの累計調達額は114億円に達しています。認知度がいかに信頼性に影響するのかがわかりますよね。2020年からは経常利益が黒字転換し、今後は収益の伸ばすフェーズに移行してくことが予想されます。

神山まるごと高専を設立

寺田親弘さんは個人の活動として、「神山まるごと高専」の設立があります。同校は設立が現実のものになれば20年ぶりの高専新設になるのだそうです。神山まるごと高専のコンセプトは「テクノロジーxデザインx起業家精神」です。その理由としては、企業が成長していくためにはエンジニア、デザイナー、経営者がそれぞれを理解し合いながら、一体となって事業を推し進めていくことが重要になるから。

すでにサイボウズやメルカリなどの大企業からの寄付を集めていたり、開校後は国内の名だたる経営陣が講師を務めるとして、注目を集めています。この高専では10代で日本を代表するような経営者から学べる環境に入れるわけですから、今の若い人に嫉妬してしまいそうですね。

寺田親弘のSNS

SNSは、Twitterのアカウントのみ存在しました。

Twitter

まとめ

新卒入社から温め続けたビジネスモデルでユニコーン企業を作り上げた寺田親弘さん。創業したSansanは事業拡大から収益拡大のフェーズに移行し今後の発展が期待されています。また、若手教育にも注目が集まっており、引き続き、業界をリードする人物となっていくことでしょう。