矢野健太の経歴!パンのサブスク「パンスク」を成功に導いた大失敗とは?

  • 2023年9月25日
  • 2023年9月25日
  • 社長

矢野健太さんは、株式会社パンフォーユーの代表取締役です。
株式会社パンフォーユーは2017年1月に設立されました。創業7年目という新しい会社にも関わらず、SHARP、ネスレ、KDDIなど大手企業からの引き合いが絶えない会社に成長しています。
また、矢野健太さんは「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」「がっちりマンデー」「WBS(ワールドビジネスサテライト)」「モーニングサテライト」「スーパーJチャンネル」など経済・情報番組にも多数出演されています。
さらに、2022年1月には著書「失敗の9割が新しい経済圏をつくる」を上梓されました。

そんな急成長を遂げ順調なパンフォーユーですが、成功に至るまでに大きな失敗がありました。
今回は、矢野健太さんのプロフィールや経歴とともに、パンフォーユーのサービス内容や各サービスを成功へと導いた矢野健太さんの成功哲学をご紹介します。

この記事でわかること

・矢野健太の経歴
・株式会社パンフォーユーについて
・個人向けサービス「パンスク」とは
・矢野健太さんの成功哲学

矢野健太のプロフィール

矢野健太さんのプロフィールをご紹介します。

  • 名前:矢野健太
  • 生年月日:1989年1月18日(現在34歳)
  • 肩書き:株式会社パンフォーユー代表取締役社長
  • 出身地:群馬県太田市
  • 兄弟:4人(弟3人)
  • 学歴:京都大学経済学部 卒業

矢野健太の経歴

矢野健太の経歴

ここからは矢野健太さんの経歴をご紹介します。
矢野健太さんは貧しい家で生まれ育つも、猛勉強の末、京都大学に現役合格。
大学卒業後は電通で順風満帆なサラリーマン生活を送りますが、なぜ退職してまで起業するに至ったのでしょうか。

貧乏だった幼少期。父親への反抗心から勉強家へ

矢野健太さんは4人兄弟の長男として育ちます。家庭は貧乏で、給食費が払えなかったり、電気が止まったりしたこともありました。そんな厳しい状況であっても、家族は仲が良く貧乏を悲観することはなかったと言います。

しかし、父親の勉強への考え方には唯一反抗心を抱きます。父親は、よく「勉強なんかするな」と言っていました。
矢野健太さんの父親はサラリーマンではなく、自営業をしていましたが、経営はうまくいってなかったため、家計が苦しい状況が続きました。
「お父さんが勉強しなかった結果、家族はこのような貧乏になっている」と感じた矢野健太さんは、父親への反抗心から猛勉強をして2007年に京都大学に現役合格します。

テレビ局を断念。根底にあった「想い」とは

就職活動を始めた頃は、視聴者の記憶に残る番組や世の中の話題になるような番組を作りたいという理由から、テレビ局を志望していました。
矢野健太さんには、この頃から「自分のアイデアを世の中に出したい」という想いがありました。

しかし、テレビ局からは内定をもらうことができませんでした。その他にも何社か就職試験を受け、内定をもらっていた電通に入社しました。
矢野健太さんは2011年に電通入社後、交通広告や電車の中刷りなどのメディア媒体を扱います。
仕事を通じて独立して活動するNPOの担当者と関わる機会があり、自身も国連やNPO関連の事業に携わりたいという思いが強くなっていきます。

サラリーマン生活から地方貢献へ。そしてパンと出会う

矢野健太さんは2014年に電通を退職し、教育系ベンチャー企業へ転職します。
ある日、自分が育った群馬県を訪れた時に、地元の店が次々と倒産していることを目の当たりにしました。
地元を盛り上げたいという想いが強くなったことと、群馬県桐生市のNPOに声をかけてもらったことが重なり、Uターン転職します。
電通時代に興味を持ったNPO関連の事業に関わり、新規事業の立ち上げを経験。そこで新規事業を運営していく楽しさを実感しました。

その一方で、ビジネスの世界に戻りたいという思いが強くなっていきます。
長期的な視点で考えると、企業活動を通じて経済的な循環を作る方が、地域活性化に効果があるのではないかと感じたことが理由でした。

そのような思いを抱きながらNPOの仕事をしていた26歳の時に、矢野健太さんはとある冷凍パンメーカーに出会います。そのメーカーのパンを食べた時に「こんなに美味しいパンがあるのか」と衝撃が走りました。
矢野健太さんは、様々なパン屋のパンを食べて調べていくうちに、ニーズはあっても地方のパン屋のパンがうまく広まっていないことに気が付きます。
そして「美味しいパンを世に広めたい」という想いが強くなっていきました。

起業するも、1年で提携を解消される

冷凍パンメーカーの社長に起業を検討していることを伝えると、興味を持ってもらえました。
矢野健太さんは、メーカーの幹部を説得する材料を集め、工場にも通って現場の意見を聞いて、事業計画書を作成。
勤務していたNPO法人を退職し、3ヶ月かけて準備をして、メーカーとの共同出資による「パンフォーユー」を2017年1月に立ち上げました。

矢野健太さんは、まず初めに、パンをカスタマイズできるオーダーメイドパンを打ち出し、初月売上180万円と良いスタートを切りますが、翌月は20万円まで落ちてしまいました。
オーダーメイドパンは、生産効率上多めに製造する必要があり、そこで余ったパンを詰め合わせた”おまかせセット”の方が売れました。
顧客は自分でカスタマイズするより、届いた数種類のパンを見て「どれから食べよう」と迷う方が楽しいと気付き、様々な種類のパンを届けることに方向転換します。

次に打ち出したのが全国各地の名産品を使ったご当地パンを作り、どの県のパンが一番美味しいかを注文数の多さで競う「全国パン甲子園」でした。
しかし、こちらも売上は伸びず、会社を設立して1年後に合弁相手のパンメーカーから提携解消をされることになります。

オフィスの需要に目を向け、個人向けにも再挑戦し成功

パンメーカーから提携を解消された後、工場の冷凍庫に大量のパンが在庫として残りました。
廃棄するのはもったいないと、知人の会社に無断で200個を送りつけます。
最初は「オフィスの冷凍庫がいっぱいだ」と怒りのメールが届くも、30分後には空になった冷凍庫の写真が送られてきます。
そこで矢野健太さんは、オフィスに需要があるのではないかと感じ、企業にヒアリングを開始しました。すると、都心のオフィス街には限られた昼休みの時間に”ランチ難民”が発生していることが判明します。
そして2018年10月に福利厚生の一環として社員のためにパンを提供するサービス「パンフォーユーオフィス」を開始しました。

2019年3月頃から「パンフォーユーオフィス」がメディアに取り上げられるようになります。
「個人向けのサービスはないのか」という問い合わせが増え、個人向けのサービスにも再挑戦します。
オーダーメイドパンや全国パン甲子園での反省点を活かして、1年間かけて準備し、2020年2月に個人向けサービス「パンスク」をスタートさせました。
パンスクは登録者は2ヶ月で1,000名を超え、2023年現在では3万人を突破する人気サービスとなりました。

株式会社パンフォーユーとは

株式会社パンフォーユーとは

この章では、株式会社パンフォーユーの事業内容についてご紹介します。
パンフォーユーは大きく以下4つの事業展開をしています。

  1. オフィス向けサービス「パンフォーユー オフィス」
  2. 個人向けサービス「パンスク」
  3. 事業者とパン屋さんをつなぐサービス「パンフォーユーBiz」
  4. パンギフトプラットフォーム「全国パン共通券」

それぞれの事業&サービス内容を解説します。

オフィス向けサービス「パンフォーユー オフィス」

「パンフォーユーオフィス」は、地域のパン屋の手作りパンを、冷凍で職場に届けるサービスです。
前章の矢野健太さんの経歴でもご紹介した通り、パンフォーユーの企業としての活動の突破口となった主軸サービスでもあります。
オフィスに冷凍庫と電子レンジを置くだけなので、利用時間の制限はなく、社員が好きな時に利用することが可能です。
ランチだけではなく、間食や朝食、夜食と様々なシーンで活用が可能です。
会社の福利厚生として導入し、社員がパンの代金の半額を出して購入するパターンが多く取られています。
2023年現在では300社以上の会社が加入するサービスとなっています。

個人向けサービス「パンスク」

全国のどこかのパン屋からお店自慢のパンが自宅に届くサービスです。
自宅に届くまで、あえてパン屋の店名がわからないようにすることで、ワクワク感を楽しめるようになっています。
料金は、送料込みで1回(8個前後入り)3,990円(税込み)です。
お届け間隔は、2週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回の3パターンから選べるようになっています。
冷凍庫で1ヶ月以上保存が可能で、食べる時に解凍して温めなおすだけで焼きたての風味を楽しむことができます。
「取り寄せるほど美味しいパンなのか?」と感じる人に対して、パンスクの世界を広めることをテーマとしています。

事業者とパン屋さんをつなぐサービス「パンフォーユーBiz」

こちらは、BtoB向けのサービスで、EC、スーパーマーケット、飲食店、イベントなど、様々なシーンでパンの販売をサポートします。
全国のパン屋を通じたパンの商品開発や、小ロットの仕入れなど、パン屋の選定から商品開発、物流設計までをパンフォーユーがトータルサポートしてくれます。
自社食材の活用や、映画作品のタイアップ商品、オリジナル商品などを数多く開発しています。

パンギフトプラットフォーム「全国パン共通券」

全国パン共通券は、全国パン共通券加盟店で使えるパンのギフト券です。
電子チケットのみで展開されており、LINE、メール、Facebook、Twitterのいずれかで送ることができます。
ギフトURLを受け取った人は、加盟店でQRコードを読み取って支払いを完了させます。
サンマルクカフェやVIE DE FRANCE(ヴィ・ド・フランス)などの全国チェーン店から地域のパン屋など、様々な店舗で利用が可能です。(利用可能店舗一覧

矢野健太は過去の大失敗から成功哲学を見つけた

矢野健太は過去の大失敗

紆余曲折を経て、パンフォーユーの事業を軌道に乗せた矢野健太さん。
失敗があってこそ、成功哲学を見つけることができたと語ります。
どのようにして失敗を成功に転換したのでしょうか。

「自分」基準だった起業当初

起業当初に立ち上げ、失敗となってしまった「オーダーメイドパン」や「全国パン甲子園」は、「顧客が欲しいもの」を軸に考えるのではなく、自分のアイデアに酔っていたと矢野健太さんは振り返ります。
テレビ局を志望していた頃からあった「自分の考えを世に出したい」という想いが先行してしまった結果、自分の想いをいかにして世に出すかばかりを考えていました。
こうした失敗を重ねたことで、ビジネスにおいては人の行動を見て、サービスに反映させることが大切だと気づいたと言います。
「人の行動を見る」に視点を変えたことで、オフィスでの需要に気付くことが出来ました。

失敗こそが再現性となる

失敗は成功の再現性につながると矢野健太さんは語ります。
失敗なしの成功は、まぐれや奇跡になって次の成功につながりにくい場合があるからです。
失敗してからの成功は、一度しゃがんでいる分「再現性」があるため、次の行動にも活かすことができます。
実際に、パンフォーユーオフィスが軌道に乗って、個人向けサービスのリクエストを受けた時にも、過去の失敗の反省点を生かし、1年かけて準備を行いました。
まず、無料モニターを募集し、顧客の関心を分析した上でスタートした結果、大人気のサービスとなっています。

まとめ

当記事では、パンのサブスクサービス「パンスク」を立ち上げた矢野健太さんの経歴や、事業が成功に至るまでの道のりをご紹介しました。
「自分の考えを世に出す」ことから「人の行動を見て求められているものを提供する」ことに視点を変えたビジネス視点からは学べることが多いのではないでしょうか。
企業向けや個人向け、BtoBなど様々な事業を展開する矢野健太さんの今後の活躍が楽しみです。
パンスクは個人でも気軽に始められるサービスのため、気になる方は検討してみてはいかがでしょうか。